気になる出来事をセッションで扱うときの整理の仕方

気になる出来事をセッションで扱うときの整理の仕方

セッションで「何が気になりますか」と聞かれた途端、職場、親、昔の恋愛、将来の不安が一度に浮かぶ。どれも大切に思えて話が行き来し、終わる頃にはたくさん話したのに、何を扱ったのか分からなくなることがあります。

出来事を上手に説明する必要はありません。ただし、変化を確認するためには、いつ、どこで、誰の何に反応したかを一件ずつ分ける必要があります。セッション前に少し整理しておくと、限られた時間を原因探しだけで使わずに済みます。

目次

今いちばん生活を邪魔する一件を選ぶ

古い出来事より、今週眠れなかった、返信できなかった、出勤前に動けなかった場面を優先します。深刻さを競うのではなく、現在の行動に影響が出ているものを一つ選びます。

次に、日時と場所を書くことも確認します。「職場が怖い」ではなく、「火曜十時、会議室で名前を呼ばれた時」とします。広い悩みを一場面にすると、身体の反応と直後の行動を確認できます。正確な時刻が分からなければ、朝や昼でも構いません。

さらに、相手がしたことを事実で書くことも確認します。「否定された」ではなく、「資料を見て、根拠が足りないと言われた」と書きます。人格の解釈を先に入れず、第三者が見ても確認できる言葉や行動にします。事実が曖昧な所は、曖昧なままと印を付けます。 また、自分が付けた意味を分けることも確認します。「能力がないと思われた」「もう任せてもらえない」と浮かんだ内容を、事実の隣に書きます。意味を間違いとして捨てるのではありません。どの言葉で身体の反応が強まるかを見る材料にします。

身体の場所と強さを記録する

胸の中央が重い八、喉が狭い六など、最も強い場所から書きます。気持ちをうまく説明できなくても、身体の感覚なら確認できます。セッション開始時の数字があれば、途中と終了時を比べられます。

次に、直後にした行動を入れることも確認します。黙った、謝った、長文を送った、仕事を休んだ。反応が実生活で何を起こしたかを書きます。楽になることだけでなく、次に同じ場面で行動を選べるかが大切です。

さらに、本当はどうしたかったかを書くことも確認します。質問したかった、断りたかった、落ち着いて資料を直したかった。相手を変える願いだけでなく、自分が取りたかった行動を一つ出します。セッション後に確かめる目標になります。 また、過去の似た場面は一件までを確認します。親、先生、以前の上司など、今の反応と似た場面が浮かべば一件書きます。人生全体の年表を作る必要はありません。今の出来事と何が似ているのか、声、表情、立場など一点を確認します。

安全面と医療面を伝える

暴力や脅しが現在もある、服薬中である、強い症状で通院している場合は、始める前に伝えます。セッションだけで扱う範囲なのか、医療や他の支援と連携すべきかを判断する大切な情報です。

次に、今回扱わない話を別紙へ置くことも確認します。途中で別の出来事を思い出したら、題名だけ書いて脇へ置きます。重要でないという意味ではありません。一件を最後まで確認してから、次回扱うかを決めます。話題が増えるたびに移動すると、変化の場所が分からなくなります。

さらに、望む変化を測れる言葉にすることも確認します。「楽になりたい」ではなく、「その場面を思い出した時の胸の重さを確認したい」「次回、質問を一つ言える状態にしたい」とします。結果を保証する目標ではなく、セッション後に観察できる目印です。 また、分からないことは分からないと言うことも確認します。原因、感情名、最初の経験が出てこなくても、無理に話を作りません。「身体は重いが、言葉は浮かばない」と伝えれば十分です。正解らしい物語を作るより、今確認できる反応から進めます。 そのうえで、途中で強くなりすぎた時の合図を決めることも確認します。苦しさが八を超えたら手を挙げる、水を飲む、場面から離れるなど、休止の方法を最初に確認します。我慢して最後まで話すことが目的ではありません。安全に確認できる範囲で進めます。

終了時に三点を残す

開始前と後の身体の強さ、出来事の見え方、次に試す行動を書きます。「よく分からないけれど軽い」でも、そのまま残します。翌日や似た場面でどうだったかを追記し、一回の印象だけで判断しません。

次に、セッション後の大きな決断は急がないを確認します。感情が動いた直後に退職、離婚、高額契約などを決めず、必要なら一晩置きます。身体が楽になることと、現実の条件が整うことは別です。契約、生活費、相手の行動を確認してから選びます。

さらに、相談先を使い分けることも確認します。身体症状や診断・服薬は医療機関、労働条件は会社や専門窓口、法的問題は適切な相談先で扱います。セッションですべてを解決しようとせず、気になる出来事と身体の反応を整理する役割を明確にします。 また、整理できない状態そのものも扱えることも確認します。話が散らばる、何も思い出せない、全部自分が悪いとしか言えない。その状態にも、焦りや恥などの反応が表れています。準備が完璧でなくても、今出ている身体の場所と一つの言葉から始められます。 セッションでは、事実、意味づけ、身体の反応、直後の行動、望む選択を一緒に並べます。深い原因を当てる競争ではありません。今の生活を止めている一件を明確にし、日常で変化を確かめられるところまで整理する時間です。

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この記事を書いた人

一般社団法人行動変容協会代表理事。エモーションフリー他、各種セラピーの開発者。20年以上、メンタルの世界を見てきて、様々な症例に対応しています。

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