予約の日が近づいてくると、ちょっと気になりますよね。
「どこまで話すんだろう」
「つらかったことを、最初から全部説明しないといけないのかな」
「うまく感情を言葉にできなかったら?」
初めてなら、わからなくて普通です。
エモーションフリーのセッションでは、人生を最初から全部語ってもらうことが目的ではありません。まずは、いま困っていることの中から、ひとつの場面を一緒に見ます。そして、その場面を思い浮かべたときに出てくる感情や、からだの反応がどう変わるかを確かめながら進めます。
ここでは、初回セッションの準備から終了までを、実際の順番に沿って説明します。
セッション前に準備すること
立派な相談内容を作る必要はありません。
たとえば「上司からメッセージが届くと胸が詰まる」「家族に電話しようとすると気が重くなる」「あの失敗を思い出すと手が冷たくなる」。そんな最近の場面がひとつあれば、十分な手がかりになります。
思いつかなければ、当日にセラピストと探せば大丈夫です。話したくない内容を無理に詳しく説明する必要もありません。ただし、現在の体調、通院や服薬の状況、強い症状がある場合は、安全に進めるために先に伝えてください。
1.いま困っていることを確認する
最初に、何が起きると困るのかを確認します。
ここで大事なのは、「人間関係がつらい」のような大きなテーマだけで終わらせないことです。誰の、どんな言葉や態度に反応するのか。いつ、どこで起きるのか。具体的になるほど、変化を確認しやすくなります。
逆に、原因をきれいに説明できなくても問題ありません。頭で作った説明と、実際の反応がずれていることもあるからです。
2.ひとつの場面を選ぶ
次に、その問題が起きた具体的な場面をひとつ選びます。
たとえば、会議で名前を呼ばれた瞬間。既読がつかない画面を見た瞬間。玄関で家族の足音を聞いた瞬間。
同じ「不安」でも、反応が始まるきっかけは人によって違います。ここが曖昧なままだと、フレーズもずれやすい。だから、広い悩みをいきなり全部片づけようとはしません。まず一場面です。
3.感情とからだの反応を確かめる
選んだ場面を軽く思い浮かべて、いま何が起きるかを見ます。
胸が詰まる。肩に力が入る。お腹が重い。逃げたくなる。腹が立つ。何も感じない。
どれも、その時点での反応です。正解を当てる作業ではありません。
必要に応じて、つらさを0から10の数字で表します。これは成績ではなく、セッション前後を比べるための目盛りです。数字にしにくい人は、「さっきより近い」「少し遠く感じる」のような言い方でも構いません。
4.セラピストがフレーズを組み立てる
確認した場面、言葉、からだの反応を手がかりに、セラピストがフレーズを組み立てます。
フレーズは、誰にでも同じ定型文を当てはめるものではありません。同じ出来事でも、悔しい人もいれば、怖い人もいる。捨てられた感じがする人もいます。背景が違えば、言葉も変わります。
セラピストは仮説を立ててフレーズを選びます。相談者は、無理に感情を盛り上げたり、うまく反応しようとしたりする必要はありません。基本的には、座って待っていれば大丈夫です。
5.同じ場面で反応をもう一度確かめる
フレーズのあと、最初に選んだ場面をもう一度思い浮かべます。
変化を見るのは、ここです。
胸の詰まりが薄くなった。映像が遠くなった。腹は立つけれど、さっきほど巻き込まれない。逆に、ほとんど変わらないこともあります。
変わらなければ失敗なのか? そうではありません。最初の見立てやフレーズがずれている可能性を考え、別の角度から確認します。「効いたことにする」のではなく、反応を見て答え合わせをする。ここを飛ばさないことが大切です。
数値を0にすることだけが目的でもありません。その場で無理に下げようとせず、相談者の状態を見ながら区切ります。
6.終了時に確認すること
最後に、今日扱った場面の反応と、セッション後の状態を確認します。
終わった直後に、わざと嫌な場面へ飛び込んで試す必要はありません。日常に戻ったとき、同じ相手や出来事にどう反応するかを見てください。「そういえば、前ほど考えていなかった」と後から気づく場合もあります。
一度で扱える範囲や変化の出方には個人差があります。別の場面や別の反応が出てきた場合は、次のテーマとして整理します。最初から回数や結果を約束するものではありません。
感情をうまく話せなくても受けられる?
受けられます。
「何も感じない」「よくわからない」も、いま起きていることのひとつです。無理に泣いたり、過去を鮮明に思い出したりする必要はありません。
ただし、話したくないことがある場合は、黙って耐えずに伝えてください。セッションは我慢大会ではありません。途中でつらさが強くなったら、止めたり休んだりできます。
オンラインでも流れは同じ?
対面でもオンラインでも、基本の流れは同じです。
オンラインの場合は、ひとりで落ち着いて話せる場所と、安定した通信環境を用意してください。セッション後に少し休める時間も取っておくと安心です。運転中や移動中の参加は避けてください。
エモーションフリーが向かない場合
エモーションフリーは医療行為ではなく、すべての問題に使うものでもありません。
強い症状が続いている、眠れない・食べられない状態が続く、自分や他人を傷つけるおそれがある、暴力や支配のある環境にいる。こうした場合は、セッションだけで抱えず、医療機関や公的な相談窓口など、必要な支援を先に使ってください。服薬の中止や変更は、医師へ相談せずに行わないでください。
また、現実に必要な話し合いや安全確保を避けるために、フレーズだけを使うのも違います。感情の反応を見直すことと、現実の問題へ対処することは分けて考えます。
まとめ|初回は「うまく話す場」ではありません
初回の流れは、次の6段階です。
- いま困っていることを確認する
- 具体的な一場面を選ぶ
- 感情とからだの反応を確かめる
- セラピストがフレーズを組み立てる
- 同じ場面で反応を再確認する
- 終了時の状態と今後を確認する
初めから全部を話せなくても構いません。まずは、最近引っかかったひとつの場面からです。
エモーションフリー自体の考え方を先に知りたい方は、エモーションフリーとは?感情を我慢せず、繰り返す反応を見直す方法をご覧ください。
受ける前の準備をもう少し詳しく知りたい方は、エモーションフリーの効果を最大化するための心構えと準備へ。
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